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ユニークベニューを使ったイベントを開催したい! 申請や届出をまとめた実践編(4)

ユニークベニューについてまとめた4回の連載。最後となる今回は、文化財を活用したユニークべニューでイベント等を実施する際の主な関係法令についてご紹介します。

実施場所やイベント等の内容により、必要となる申請・届出は異ますので、余裕を持った日程で関係機関に事前相談し、必要な措置や手続きを行いましょう。最後には、関連資料のリンク集もあります。

※必要な申請・届出や作成書類名は地域により異なる場合がありますので、関係機関にお問い合わせください。

(1)指定等文化財を活用する場合

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文化財の指定状況には、国の指定や登録、地方公共団体の指定などがあります。また、文化財類型には、有形文化財や記念物など6類型があります。指定等状況や類型によって必要な手続きは異なるため、活用したい文化財の指定等状況や類型を確認しましょう。

ここでは、国指定文化財のうち、ユニークべニューとして活用する際に申請が必要になるものについて説明します。

■指定状況が史跡・名勝・天然記念物の場合
 ➡地方公共団体への「現状変更等の申請」が必要となります

<文化財保護法>
史跡等の指定地において、現状を変更したり、保存に影響を及ぼす行為をする場合、文化庁⻑官の許可が必要になります。「重大な現状変更」又は「保存に重大な影響を及ぼす行為」以外のものは都道府県又は市の教育委員会による許可となり、影響が軽微である場合は許可は不要です。

例えばこんな時に必要です
・庭園にステージを設置
・公園内に誘導のための仮設ロープを設置

■指定状況が国宝・重要文化財(建造物)の場合
 ➡地方公共団体を通じて「保存に影響を及ぼす行為」の協議が必要となります

<文化財保護法>
保存上何らかの影響を与える行為をする場合、事前に地方公共団体を通じて文化庁に協議することになります。その結果、影響が軽微であると判断された場合は事前の許可は不要ですが、必要と判断された場合は文化庁⻑官の許可が必要になります。

例えばこんな時に必要です
・建造物内に本来想定していない重量物を搬入
・建造物内に仮設の売店を設置(許可不要)

■指定文化財全般の場合
 ➡消防機関への「火気の使用に伴う申請等」が必要となります

<火災予防条例>
文化財保護法により、指定された文化財の内部または周囲の規制範囲などの指定区域での喫煙、裸火を使用する場合には消防機関への「火気の使用に伴う申請等」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・指定区域の境内に一時的に火気を使用する店を出店

(2)露店の設置や催物を実施する場合

➡消防機関への「露店等の開設の届出」及び「催物開催の届出」が必要となります

<火災予防条例>
展示会等の多数の人が集合する催しにおいて、露店等を開設する場合には、消防機関への「露店等の開設の届出」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・飲食イベントを実施するために露店を設置


<火災予防条例>
劇場等以外の建造物において演劇等の催物を実施するなど、不特定多数の人が参加する催物を本来の用途とは異なる建造物で実施する場合は、消防機関への「催物開催の届出」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・通常非公開の建造物内で大規模な演劇を実施


(3)ステージや客席を設置する場合

➡消防機関への「劇場等の客席特例適用の申請」及び地方公共団体への「仮設建築物等許可の申請」が必要となります

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<火災予防条例>
来場者用の客席を設置する場合には、消防機関への「劇場等の客席特例適用の申請」が必要です。来場者が安全かつ迅速に避難することができるよう、設置方法等について定められています。

例えばこんな時に必要です
・城跡広場に客席を設置してコンサートを実施


<建築基準法>
ステージなどの仮設興行場等を設置する場合には、地方公共団体への「仮設建築物等許可の申請」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・庭園に舞台や照明塔を設置して演劇を実施

(4)食品を提供する場合

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➡保健所への「営業許可の申請」が必要となります
<食品衛生法>
食品を調理・加工・販売する場合、何をするのかによって、営業許可が必要になる場合や営業許可よりも簡単な手続き(届出など)で済む場合など、必要な手続きが異なりますが、保健所への「営業許可の申請」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・コンサートにおける飲食エリアでの調理販売

(5)道路を使用する場合

➡所管警察署への「道路使用許可申請」が必要となります
<道路交通法>
道路において交通の妨害や危険を生じさせる恐れがある行為の場合には、所轄警察署への「道路使用許可申請」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・道路においてイベント、祭礼行事、ロケーション等を実施


また、道路に一定の物件や工作物を設置し継続して道路を使用する場合、道路管理者または所轄警察署への「道路占用許可申請」及び「道路使用許可申請」が必要です。

例えばこんな時に必要です
・臨時駐車場案内広告板を道路上に設置

他にも……

<施設管理者への会場利用許可申請>
会場としたい文化財を利用する場合に、管理者への申請等が必要な場合があります。都市公園等に指定されている場合は占用許可申請が必要です。

<不特定多数の人が集まる場合は所轄警察署と協議>
不特定多数の人が集まることにより、渋滞等の発生が予想される場合は、交通誘導等が必要になる場合があるので、事前に所轄警察署と協議するようにしましょう。

ここまで文化財を活用したユニークべニューについて全4回にわたり取り上げてきましたが、皆さんいかがでしたでしょうか。より詳しい情報を知りたい方は、冊子としてまとめた「文化財を活用したユニークベニューハンドブック」をダウンロードしてご覧ください。また、観光庁や日本政府観光局においてもユニークべニューの利用促進に取り組んでいますので、関連する資料を紹介させていただきます。

==関連資料==

<政策について「ユニークべニュー」【観光庁】>
http://www.mlit.go.jp/kankocho/page07_000020.html
ユニークべニューの開発・利用促進にむけて、観光庁が実施した事業の「事業報告書」が掲載されています。また、実施した事業に基づき発行された「関連冊子」や、実施した事業で調査を行った地域の一部施設をリスト化した「ユニークべニュー施設リスト」も掲載されています。

<事業報告書>
2017年度事業「MICEの誘致拡大に向けたユニークべニュー活用促進事業」
https://www.mlit.go.jp/common/001261322.pdf

2014年度事業「ユニークべニューの開発・利用促進に関する調査事業」
https://www.mlit.go.jp/common/001103744.pdf

2013年度事業「MICEの誘致拡大に向けたユニークべニューの利用促進事業」
https://www.mlit.go.jp/common/001032752.pdf

<ユニークべニュー関連冊子>
2017年度事業「ユニークべニュービギナーズガイド」
https://www.mlit.go.jp/common/001261307.pdf

2014年度事業「ユニークべニューベストプラクティス集」
https://www.mlit.go.jp/common/001098973.pdf

2013年度事業「ユニークべニューHANDBOOK博物館・美術館編」
https://www.mlit.go.jp/common/001032753.pdf

<ユニークべニュー施設リスト>
https://www.mlit.go.jp/kankocho/page07_000020.html2013年度・2014年度事業により、調査を行った地域の一部施設が掲載されており、施設概要・問合せ先・開催可能なスペース・最大収容人数等が紹介されています。(2019年3月現在98施設)

<ユニークべニューの紹介【日本政府観光局】>
https://mice.jnto.go.jp/organizer-support/unique-venue.html

歴史的建造物や文化施設など、日本らしい情緒を味わうことのできる会議・レセプション会場のうち代表的なものが紹介されています。(2019年3月現在110施設)

ユニークべニュー施設紹介は、各地域の地方公共団体・観光協会等のウェブサイトに掲載されている場合もありますので、そちらも参考にしてみてください。



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