文化庁 文化観光note
特別な会場で特別な体験を! 文化財を活用した「ユニークベニュー」の基礎編(1)
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特別な会場で特別な体験を! 文化財を活用した「ユニークベニュー」の基礎編(1)

文化庁 文化観光note

今、文化財や博物館・美術館などの特別な会場を、会議・レセプション・イベントなどに活用する「ユニークベニュー」の取り組みが盛んです。観光やまちづくり、イベントにおける特別な体験が提供できるだけでなく、文化財や博物館・美術館などの魅力をより多くの人々に知ってもらうきっかけとなっています。

今回のnoteでは全国から集めたユニークベニューのケーススタディーや使用の際の注意点、法令などについて全4回の連載としてまとめました。今回は基礎編として、ユニークベニューの定義やユニークベニューを活用する際に気をつけたいポイントなどをお届けします。

ユニークべニュー = 特別な(ユニーク)会場(べニュー)

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ユニークべニューとは、ヨーロッパで生まれた考え方です。歴史的建造物・神社仏閣・城跡・美術館・博物館などの独特な雰囲気をもつ会場で、会議・レセプション・イベントなどを実施することにより、特別感や地域特性を演出することを目的とします。本来の用途とは異なるニーズに応えて特別に貸し出される会場を「ユニークべニュー」と呼んでいます。

文化庁では、2016年3月に策定された「明日の日本を支える観光ビジョン」を受け、文化財を貴重な地域・観光資源として活用するための「文化財活用・理解促進戦略プログラム2020」を策定しました。その中で「文化財をユニークベニューとして活用した文化イベントを積極的に実施する」というアクションプログラムを掲げ、各種の取組を推進しています。

しかし、手続きの複雑さや、取り扱いが難しい面もあり、ユニークベニューの活用にはハードルもあります。「担当者も少ない中で、文化財をユニークベニューとして活用するにはどうしたらよいのか?」「地域のイベントを任されたけど、どこで実施したらよいのか?」こうした悩みをもつ方に向けに、今回は4回にわけて情報を提供します。

この読み物を通じて、文化財をユニークベニューとして活用する発想が豊かになり、そのための協力の輪が広がり、ひいては社会全体で文化財を継承する機運が高まることを期待しています。

活用方法は、コンサート、演劇、アートイベントなどさまざま

文化財は、歴史上・学術上・観賞上などの観点から価値が高く、今日まで守り伝えられてきた貴重な国民の財産です。独特の雰囲気をもつ特別なものが多いので、文化財を会場としてイベントなどを実施することにより、特別な体験は生まれやすくなります。

2018年6月に文化庁が実施した地方公共団体へのアンケート調査を元に、文化財がどんなイベントのベニューとして活用されてきたかをまとめました。

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参加者・主催者・所有者、地域などさまざまな関係者にメリットがある

文化財をユニークべニューとして活用する際、関係者にどのようなメリットがあるのでしょうか。関係者には、主に下図のような3者が考えられます。

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もちろん、地域にもメリットがあります。

 ・イベント等参加者の再来訪により観光客の増加につながる
 ・地域の知名度向上につながる
 ・地域への経済波及効果が生まれる

文化財をユニークベニューとして活用するときに大事な3つの視点

<視点1:文化財の特徴や魅力を生かそう>

文化財の歴史的・文化的な価値、規模、デザイン(外観や内装など)、立地条件、歴史的背景などに着目して、その文化財ならではの特徴や魅力を見つけ出しましょう。そのうえで、その特徴や魅力を生かして「特別な会場での特別な体験」をつくってみる。

特に文化財には、そこで起こった歴史的な出来事や、その場所にまつわる言い伝えや慣習など、一見では気付かないところに特徴的で魅力的なストーリーが隠れているケースもあります。

事例:場所にまつわる言い伝えに着目して特別な体験を創出
平安時代の京都では、一条大路、二条大路と大宮大路が交わる二条大宮の辻で、妖怪たちが列を成して徘徊する「百鬼夜行」に出くわすと言われていたそうです。実は、その平安時代にあった二条大宮の辻は、現在、二条城内に位置しており、そのストーリーを元にしたプロジェクションマッピングが二条城で行われました。

<視点2:文化財が抱える課題の解決につなげよう>

地域には、誇るべき文化財であるにも関わらず、様々な課題を抱えている文化財があります。例えば「過疎化や地域住民の高齢化により文化財を維持管理する担い手が不足している」、「修理が必要なのに資金が不足している」といった文化財の保存活動に関する課題です。

このような課題を解決する手法の一つとして、文化財を会場にイベントを実施し、文化財の魅力を感じてもらうことで、参加者にその文化財の保存活動に参加したいと思ってもらうことが挙げられます。

しかし、単に文化財でイベントを実施するだけではこの課題の解決につながりません。担い手不足、修理のための資金不足といった課題があることを参加者に的確に伝えたうえで、参画可能な文化財保存活動の内容を効果的にアピールする必要があり、そのような仕掛けをイベントの内容に盛り込まなければなりません。

<視点3:長年継承されてきたことや本来の用途をリスペクトしよう>

前述のとおり、文化財はユニークべニューとして活用されることに適していると言えますが、注意も必要です。

まず、文化財は一度壊れてしまえば取り返しがつかないものであり、それぞれの特性や脆弱性についての正しい認識のもと、適切に取り扱われる必要があります。文化財をユニークべニューとして活用する際には、後世に文化財を守り伝える必要性を理解し、文化財の「保存」に影響を及ぼさないということを大前提にしなければなりません。

文化財の「保存」に影響を及ぼさないために
・イベントの終了後は、原状回復しましょう。
・指定等文化財において「現状を変更する、又はその保存に影響を及ぼす」可能性がある場合、国や地方公共団体に相談してください。その結果、国や地方公共団体の許可が必要となることがあります。
・文化財には、火災に対して脆弱なもの、不特定多数が用いることを想定したつくりになっていないものもあるので、火気使用には細心の注意を払うとともに、あらかじめ避難経路を確認するなど安全に対する配慮も不可欠となります。

また、ユニークべニューとして活用される文化財には、本来の用途があり、現在もその用途で使用されているものもあります。例えば、神社仏閣は宗教施設ですし、町家は今でも居住されている場合があります。このような文化財をユニークべニューとして活用する際には、単に貸会場として利用するのではなく文化財の「本来の用途」を尊重する必要があります。

文化財の「本来の用途」を尊重するために
・神社仏閣
信仰の対象・信仰の場であることに配慮して、実施するイベントの内容を検討する必要があります。
・町家等
日常生活の場となっている場合にはプライバシー保護などに配慮して、実施するイベントの内容を検討する必要があります。


より詳しい情報を知りたい方は、冊子としてまとめた「文化財を活用したユニークベニューハンドブック」をダウンロードしてご覧ください。連載の2回目は、実際にユニークベニューで開催されたイベントの事例紹介です。実際に実施したことで得れた留意点などもまとめていますのでぜひご覧ください。

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